俺様王子と秘密の時間



プイッと横に顔を背けると、羽鳥は「シイ、てめぇ」なんてふざけながらあたしの頭をくしゃくしゃにしてきた。



「きゃっ……!」


寝癖が直らないだけじゃなく、もっとボサボサになってしまった。

あたしは羽鳥の頭をポカポカ叩いてやった。



「ぶは……シイ、アンタ髪の毛」

と、はーちゃん。


「変な頭。あ、元からか」

と、コウちゃん。


ムウウウ……。

羽鳥のバカヤロウウウー!



あたしと羽鳥はいつもこんな風にふざけあっているんだ。

それを見て笑うはーちゃんとコウちゃん。

こんな風に笑いあってる時間が幸せを感じるんだ。

男女の友情……なんてね。



そしてあたしは羽鳥にくしゃくしゃにされた髪を手ぐしで直しながら、思い出したくもない出来事を頭の片隅から引っ張り出した。