俺様王子と秘密の時間



「ぶはっ!なんだよこの寝癖?」


羽鳥は今朝、いくら頑張っても直らなかったあたしの寝癖を後ろからピンッと引っ張った。


痛いんですけどおお――!



「直らなかったんだもん!」


羽鳥は最近ウェーブをかけたばかりの髪の毛を触りながらケラケラ笑った。



笑うと切れ長の目がくしゃってなるその笑顔は、まるで子供みたいなんだ。


あたしが羽鳥と友達じゃなかったら、この人、キツイ顔つきで狼みたいだなぁなんて思っていたと思う。


もちろん今は全然思わないけど。



「それよりシイ。王子のこと全然王子じゃなぁーい!とか言ったって?」


コウちゃんはあたしの前に立ってキョトンとした顔をしながら言った。



「あ……うん」

「シイったら、珍しく白熱しちゃってたんだから」