俺様王子と秘密の時間



真上には千秋の整った顔があり、覆い被さるように両手をついて、あたしを眺めている。

千秋の長い前髪が降りかかり、あたしの肌に撫でるように触れた。



「あの時のお前も、笑うとまじで可愛いかった」

「笑ってなんかないもん……」


あの時は、あの場所しかなくて。

あたしは、暗くて地味で――。



「そん時お前、独り言言って、笑ってたけど?確か……」


う……。

もしかして。


挑発的な表情を浮かべる千秋は、あたしの頭の横に顔を埋めて口を開いた。



「“早く大きくなぁれ”」


意地悪に、でも甘美な声で囁くように千秋は言った。

それはあたしが当時、ヒマワリに向かって言っていた言葉――。



「な……なんで……ひゃああ!」


千秋はあたしの耳を甘噛みをすると、ゆっくりと顔を上げて不適な笑みをこぼした。



「だからまじで焦った。入学式の日、いきなりお前がオレの前に現れるから」