「ち、ちちちちち千秋っ……?!なんで?だってネクタイ黒……」
驚きのあまり上手く口が回らないあたしに、千秋は「フッ」と涼しげな笑みを浮かべて言う。
「お姫様を奪うのは、悪役の役目だろ?純白は似合わねぇんだよ」
そう言って、あたしの身体に回す腕に力をこめると、千秋はあたしを見下ろすように、挑戦的な瞳をして囁く。
「お前のこと奪ってやるよ」
長い前髪の隙間から覗かせるブラウンの瞳に、あたしの胸がキュンッと響いた。
会場が騒然とする。
でも……、今のあたしの瞳には、もう王子様しか映らないんだ。
涙が出そうになるあたしを見て、千秋はグッと顔を近づけてくる。
唇が触れる寸前……
「おい、てめえ」


