グイッ――。
「ひゃっ……」
手首を掴まれたかと思ったら、視界が歪んで身体がふわっと軽くなり、あたしの足が宙に浮いた。
そして――。
「コイツ、オレのだから」
羽鳥に向かってそう言い放つ低い声が、あたしの頭上で聞こえる。
羽鳥はチッと舌打ちした。
な……なななななにが起きたの?
頭がパンクしそう。
あたしはその状況を理解するのに数秒時間がかかってしまった。
俗に言う“お姫様だっこ”というモノをされていたからだ……。
「お待たせ」
いつの間にか現れた千秋があたしの耳元で囁いた。
きゃあああああああ。
なんでぇえええ!?
か、身体が浮いてる。
ドクン……ドクン……
千秋に抱きかかえられたあたしの心臓は、あり得ないくらいに騒ぎだし、甘い悲鳴をあげていく。


