童話の中に出てくるお姫様には、必ず素敵な王子様が現れるんだ。
例えお姫様になれなくても……、“好き”だけは言わせてほしい。
お願い……。
お願いだから。
せめて、あたしに、
“好き”を言わせて下さい。
もう、止まんないよ……。
王子様へと続く、作られた道を、あたしは駆け出そうとした……。
その時。
王子様がステージに現れた。
色素の薄い茶色い髪が揺れる。
ブラウンの瞳が光る。
誰かをお姫様に選ばないのなら、“黒”のネクタイを。
もし誰かをお姫様に選ぶのなら、純白の“白い”ネクタイを……。
王子様が選んだネクタイの色は、
……漆黒のカラー。
――“誰も選ばない証”


