「ね、ネクタイは……?」
「それがまだつけてねぇんだよ。たぶんこれからだ。早く行けよ」
あたしの手首を掴む羽鳥。
歓声がすぐ側で聞こえる大きな扉の前で、羽鳥は振り返った。
「一人でも、行けるだろ?」
羽鳥が微笑んだ。
そのお日様みたいな優しさに、あたしはいつも救われていたんだ。
「あ……ありがとう」
そして羽鳥に背中を押されたあたしは、強く頷いて扉を開ける。
体育館では全校生徒たちが左右に別れて集まっていて、真ん中だけが綺麗に空いていた。
まるで王子様と、
選ばれたお姫様のためだけに作られた道。
“お姫様は誰だ!”
そう書かれた大きな文字と、ハートの風船が浮かぶステージ。


