俺様王子と秘密の時間



しばしの間、あたしはずっとはーちゃんを抱きしめていた。

強がりで意地っぱりなはーちゃんが、あたしの腕の中で小さく声を漏らして鼻をすすっている……。



はーちゃんは自分の気持ちに真っ直ぐだったよね……。

あたしみたいに逃げることが嫌いなはーちゃんは、ちゃんと自分の気持ちを誤魔化さずに伝えた。


だからあたしも、もう逃げない。



「苦しい……」

「えっ!あ、ごめん!」


あたしの腕から解放されたはーちゃんの鼻が赤く染まっていた。

ふぅーと深呼吸するはーちゃんの顔は、心なしか誇らしげだった。



「行かなくていいの?」


ドキッ――。

はーちゃんはいつもの表情で言った。



「行く……伝えてくる……」


教室の扉を開ける寸前、あたしの背中にはーちゃんの声を聞いた。



「シイ!女は度胸よ?」


凛とした声が胸を熱くさせる。


そして、あたしは走り出す。