「シイ、聞いてたろ?ユリの話」
「ん……」
羽鳥の言いたいことはわかる。
けれど……、気持ちが溢れて外見が変わってしまっても、一途な想いを貫き通したユリさん。
千秋と羽鳥を一番よくわかっていて、二人の大切な幼なじみで。
そして春希さんの幸せを祝福することが出来た。
それなのに。
あたしはあの日、千秋の話も聞かずに一方的にまくし立てて……、空回りして、やっと掴んだ自分の気持ちを投げ出した。
「諦めるのか?」
うっと黙りこんだままのあたしに、羽鳥の真剣な声が響いた。
「自分の気持ちに正直になれねぇのかよ?」
「だって……今さら……」
「逃げるんだな」
「……っ」
じゃあどうすればいいのよ……。
「オレは、そんなお前を好きになったんじゃねぇよ」
羽鳥は立ち上がり、あたしに目を向けることもなく背を向けて行ってしまった。


