このまま文化祭ビックイベントを迎えてしまうのかと思うと、何故か急にソワソワしてきた。



「シイーっ、フルーツまだぁ?」


もしかしたら千秋が誰かをお姫様に選ぶかもしれないのに、それを見る勇気なんて、あたしにあるのかな……。



「聞いてんのー?」


でも千秋はやっぱりユリさんが好きなんだから、その心配はないかもしれない。


うん……。

それでいいんだ。

あたしは王子様の暇潰し程度だったんだから早く忘れてしまえばいいんだ。


あんなバカ王子のことなんて……



「シイ――――っ!!」

「ヒッ……!」


ぎゃああああああ。

はーちゃんの怒鳴り声が耳元で響いて鼓膜が破れそうだった。



「さっきから呼んでるんだけど」

「ご……ごめんなさい」


いつの間にか自分の世界に入りこんでいたあたしは、小さく頭を下げて謝った。