千秋はめんどくさそうな顔をしてあたしに近づいてくる。
「……答えてよぉ……」
自分の足元に視線を落としたまま、あたしは震える声を抑えようとした。
「だからユリとはそんなんじゃねぇって。お前、保健室でオレと雅弥の話し聞いてたろ?」
千秋はあたしの腕を掴むと、自分の方へ引き寄せようとした。
けれどあたしは身体中に力をこめてそれを受け入れなかった……。
「……じゃあなんで何も教えてくれないの?」
「言えるわけねぇだろ?“幼なじみを同情で抱いた”って言えってか?」
違うよ……。
そんなこと話せるハズがなかったんだから。
そういうことじゃないもん……。
「あたしは千秋の気持ちが……」
「そんなの、とっくにわかってんだろ?」
ちゃんと言葉で言ってくれないと、あたしは人の心が読めるわけじゃないんだから。
――わかんないよ。


