千秋の眉がピクッと動いた。
それを見たあたしの胸はチクンと棘が刺さったみたいに痛んだ。
「……ユリのこと知ってんの?」
「羽鳥から全部聞いたから」
あたしは小さく頷きながらそう言うと、千秋は力を抜くように肩を下げてため息をついた。
「雅弥のヤツ、余計なこと言ってんなよ」
舌打ちする千秋にあたしは眉を寄せて唇を噛んだ。
「夏休み……」
あたしは言いかける途中でやっぱり少しためらってしまう。
「夏休み、“闘ってた”って言ったよね……?」
あたしが保健室で聞いた時、千秋は自分自身と闘ってたって意味わかんないことを言った。
“お前はなにも知らなくていいんだよ”
そう言われたことがずっと引っかかていたの。
「どういう意味なの?」
「なにが?」
「だから……闘ってたって……」


