ワイシャツを戻しながら千秋を睨んだけど、そう簡単に離れてくれるわけがなかった。
「んだよ。ココじゃ嫌なら“禁断の部屋”行くか?」
うわあああ……。
せっかく人が忘れかけていた嫌な記憶を思い出させるなんて……。
「椎菜はエッチなことに興味津々だったもんな?」
距離にして3センチくらいのところまで顔を近づけて、小馬鹿にしたように言った。
確かにあたしは盗み聞きをしていたけど今はその話し関係ない。
「それとも、こういう狭い場所でヤるのが好きなのか?」
「ふざけないでよ……!!」
あたしは両腕をふりほいで、草むらに落ちている自分の鞄を拾い上げた。
そして鞄に手を突っ込み、羽鳥がクシャクシャにした写真を手に取って握った。
壁に寄りかかって首を傾げる千秋の目の前まで行って口を開いた。
「…藍原……ユリさん」


