角から伸びてきた長い腕に掴まれたあたしはグイッと勢いよく引っ張られてしまった。
あたしが握りしめていた鞄が飛んでゆくのが横目でわかった。
「痛っ………!!」
何が起きたのか理解する間もなく、視界には千秋の顔がどアップで映りこんだ。
な……ななななに!?
今視界がひっくり返りそうになったんだけど……。
「千秋!?なにす……」
「お前、羽鳥とキスしたろ?」
あたしの言葉を途中で無理矢理遮って、口端を吊り上げながら千秋は言った。
え……。
どうしてそれを……。
「昨日は何も言わなかったけど、こないだ教室でキスしてたろ?」
あの時、教室の入り口付近でカタンという音がして羽鳥は唇を離したんだ。
あれって千秋が居たってこと?
確かにキスされたけど。
でもカーテンで隠れてたハズ。
「し……してないもん……!」


