確かに1年の頃から一緒に居るけど、羽鳥があたしに手を出すとかの問題以前に、ただ単に友達だからじゃなくて?
「羽鳥はほんとにシイが好きだから、簡単に手を出したりしたくなかったのよ」
そう言われるとまた泣きそうになってしまう。
コウちゃんがあたしに、雅也を傷つけないでって言っていたのを思い出した。
その意味を改めて理解すると、あたしは羽鳥のことを何もわかっていなかったんだ。
友達友達って……。
知らなかったとはいえ、ちょっと無神経だった。
「あのユリって人は幼なじみだったんだー」
「うん……」
あたしはクリームパンをちびちび食べながら頷いてみせた。
「シイは羽鳥じゃなくて王子が好きなんでしょ?」
ドキッ――。
はーちゃんがあまりに突然、千秋なんて単語を出すから、むすかえしてしまうところだった。


