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羽鳥の話が途切れた頃、もう夜を迎えていたことに気づいた。
空に浮かんだ月明かりがぼんやりと照らす部屋の中で言葉はなかった。
『言いたくないことの一つや二つ誰にだってあんだろ』
そう言った羽鳥。
容易く話したり出来る内容じゃなかったんだとわかった今。
どうして教えてくれないんだろうと思った自分がバカみたいだ。
だから千秋だって絶対に言わなかったんだ。
「ユリにまだアイツと会ってんのか聞いたら、“千秋と会ってる”って答えた」
羽鳥の声がかすれていた。
思わず羽鳥を見上げたけれど、暗がりの部屋の中じゃ表情すらわからない。
「だからやめとけってお前に言ったんだよ……」
どうりで羽鳥は千秋に過剰反応するわけだ。
だからさっきもバスケ部のことを聞いたら何も答えなかったんだ。
中学の頃にそんな複雑な想いを抱えていたなんて、あたしが知るはずもない。


