「おかえりー」
「あっ!春くん」
ユリが春希さんの元にふっ飛んでいく。
春希さんの隣はユリのポジションだ。
千秋の兄貴。
春希さんに向けるユリの瞳が、オレらに向けられる瞳とは違モノだってわかってた。
つぅかあんな態度じゃ好きだって言ってるようなもんじゃねぇの?
バスケの試合が終わってしばらく経った頃。
「あのね……あたしね、春くんが好きなの……」
泣きながらユリが言った。
オレも千秋も、んなことずっと前から知ってたよ。
見てればわかんだよ。
「……泣くなよ」
千秋がユリを抱きしめる。
ユリが泣いたら絶対、千秋はユリを抱きしめて慰めるんだよ。
ガキの頃からそうだった。
頭なんか撫でてんじゃねぇよ。
気に入らねぇんだよ。
オレよりも千秋を頼ることが、めちゃくちゃムカついた。
別にユリが好きなわけじゃない。
大切な存在ではあったけど。


