羽鳥の胸の中は暖かくて、さっきまで加速していた鼓動が落ち着きを取り戻していく。
それは千秋の隣に居る時とは違う、胸が和らぐような気持ちになる。
「ユリ、あんな派手な女じゃなかったんだぜ?“無垢”って言葉が似合うくれぇ純粋なヤツだった」
羽鳥が何か話す度に吹きかかる息が、あたしの生乾きの髪の毛を微かに揺らした。
羽鳥がどんな表情で話しているか、抱きすくめられているあたしにはわからない。
トクトクと響く羽鳥の心臓の音が、耳に届く。
「オレらが中3の頃だった……」
間が空いた後、羽鳥が口を開く。
そしてあたしの知らない千秋と羽鳥、ユリさんの過去を話始めてくれた。


