「開ければ?」
あたしの顔の横から長い腕を伸ばしてマグカップを手に取る羽鳥。
美味しそうな甘い匂いがして、あたしもマグカップに口をつけた。
温かいココアを口に含むとさっきまで冷たかった身体が熱を取り戻した。
「これは涼くんがくれたんだよ?なんか見たくないよぉ……」
「水城が?」
うん……、と頷いて何気なく封筒をひっくり返した。
“王子、丘の上公園にて”
その文字が目に入った瞬間、後ろのベットに座る羽鳥があたしからソレを取り上げた。
「見んなよ……」
「な……なんで?返してよっ」
「ダメだ」
なんでよ……?
そりゃロクなモノじゃないに決まってるけど見るなって言われたら余計に気になるじゃない……。
「返してってばっ!」
身体をねじって羽鳥から封筒を奪い返すと、そのはずみで中身が散った。


