「オレ以外の男に、ついてくなっつったろ?」
千秋の腕があたしを抱き寄せて、ずぶ濡れになっているのに暖かいお日様みたいな安心感に包まれていく。
「オレが日直で良かったな?」
眉を下げて笑う千秋。
こんな風に千秋はいつだってあたしの心の奥を揺さぶるんだ。
「…ち…あき……」
また目の奥が熱くなって、子供みたいに泣いてしまった。
あたし、なに泣いてんのよぉ……。
なんで来るのよ。
ほんとは自分から抱きついてしまいたいくらい嬉しかったのに。
けれど涙が止まらなくて、もう雨なのか涙なのかわかんなくなっていた。
「泣くなよ」
「だ……だってぇ」
「泣くなって。キスするぞ?」
「なっ……」
千秋はあたしを解放をすると、何の理由も聞かずに濡れた頭を撫でてくれた。
「随分、ご執心ですねぇ?成瀬川センパイ」
悪魔の存在を忘れてた……。


