凍りみたいに固まるモリヤユウジを、千秋はまるで獲物を捕らえたような瞳で見据える。
「次オレのモノに近づいたら、てめぇの舌にぶっ刺してやるよ?」
千秋は鞄をぶん投げると、
「口がきけねぇくらい、太ってぇヤツをな」
そう言って、顔と顔がくっついてしまいそうなくらい近寄ると、千秋はガツンと一発殴り飛ばした。
「きゃっ……」
鈍い音がして、あたしは反射的に目を瞑ってしまった。
出来たての水溜まりにドカッと尻もちをついたモリヤユウジを、千秋は口端を吊り上げて笑った。
あんなに恐ろしかったモリヤユウジはヨロヨロと立ち上がり、まるで幽霊でも見たかのような顔で走り去ってしまった。
「ったくお前は悪い子だなぁ」
「ひゃああ……」
モリヤユウジが去ったとたん、千秋の腕があたしの腰に回りグッと身体を引き寄せられた。


