けれど千秋のその瞳には黒いモノが浮かんでいるようで、あたしがギョッとしてしまう。
遠くで雷が鳴って、さっきまで小降りだった雨は一気に激しさを増した。
「離せよ」
いつもよりずっとトーンの低い千秋の声は雨の中でもよく響いた。
あたしの肩を掴んでいたモリヤユウジの手がピクッと動いた。
そして千秋は水びだしの地面を歩いて、あたしとモリヤユウジの前まで来る。
「……ナイト気取りかよ」
千秋を目の前にしてそう言ったモリヤユウジの声に、さっきまでの迫力はまるで消えていた。
涼くんの顔はひきつっている。
ふいに顔を上げると、眉を寄せた千秋と視線が絡まった。
泣き顔を見られたくないあたしは千秋から目を逸らして地面を見つめた。
重苦しい沈黙が流れる中で、雨音がやけに響いていたその時。


