逃がさないようにか、あたしの肩を掴むモリヤユウジの手に力がこもった。
『でも手を下すのは僕じゃない』
離して……!
涼くんの言葉を思いだし、そう叫びたいのに恐怖感に支配されたあたしは声を出せなかった。
「ほら行くぞ?ったく花子は相変わらずトロトロしてんだなぁ?」
ゲラゲラ笑う声が複数の人の声が重なったみたいにあたしには聞こえた。
どうして過去はこんな形でもあたしの前に姿を現してくるの……。
過去をやり直せたらいいのにと、そう思わずにはいられなかった。
逃げなきゃ。
身体中に力をこめる。
「おい花子!早くしろって!」
ダメだ、怖い……。
足がすくむ。
逃げ出したいのに足が鉛のようにずっしり重くて全く動かない。
もうダメ……。
そう諦めた時だった。
「オレも混ぜてくれよ?」
少しずつ強まる雨の音に混じって、背後から声がした。


