よく理解出来ないまま首をかしげ、あたしは膝をついたままちょっとだけ前に進む。
「……なんで?」
羽鳥やコウちゃんにもついて行ったらダメなのかな、なんて呑気なことを考えていた。
「オレが嫌だからだ」
千秋は独り言のようにポツリと呟くと、目元を覆った腕を外してゆっくりと身体を起こした。
太陽が西に傾きかける。
わずかに出来たカーテンの隙間から射し込む夕陽のせいか、千秋の顔が少しだけ赤く染まって見えた。
キュン……。
胸の奥が疼(うず)いた。
いつもの千秋ならもっと意地悪を言うのに、今のはちょっと反則だよぉ……。
どうして千秋はこんなにも心をくすぐるのが上手いんだろう。
……ズルいよ。
どちらも口を開くことはなく、静かな保健室に沈黙だけが漂う。
視線が絡まって、それを合図のように千秋が口を開いた。
「もう我慢出来ねぇ」


