「あ――、あれね?嘘だよ?」
「嘘ぉ?」
はぁあああああ……!?
いや確かにはーちゃんの口から“千秋が好き”って直接聞いたわけじゃないんだけど……。
「王子は端正な顔してるしカッコいいと思うけどさ?」
「う……うん」
「目の保養にはなるけど、好きなんてあたし一言も言ってないよ?」
「うっ……」
半分呆れたような顔で言ったはーちゃんにあたしは返す言葉がなかった。
こ……これってもしや、全てあたしの勘違いなんでしょうか?
「で……でも!はーちゃんあの時、タコみたいに真っ赤な顔してたもんっ」
「誤解を招くようなこと言ったのは悪いけど。でもそれは……」
「それはっ!?」
テーブルに身を乗り出して問い詰めるあたしからはーちゃんは目を逸らした。
「アイツが居たからよ……」
あ……アイツぅ?