はーちゃんはもう一度、「王子だよね?」とあたしの顔を覗きこみながら確認した。

「うん」と頷くだけのあたしに、大きなため息をつくはーちゃん。


なんだか悪いことを言ったような気分になり、あたしの心臓が変にざわめきだした。





「……あのさ?シイ、勘違いしてない?」

「へっ?」


か……勘違い?

顔をあげると、はーちゃんは再びため息をついた。



「あたし、王子のこと好きじゃないけど?」

「え……ええぇえ!?」


あっさりと言うはーちゃんとは裏腹に、あたしは驚きのあまり大声で叫んだ。

店員さんの鋭い視線に、慌て口を覆った。



「だって……はーちゃん夏合宿の時“王子がカッコいいから恥ずかしくて”って……」


真っ赤な顔であたしに言ったじゃない……。