あたしが任された花壇は体育館の前にあった。
まだ小さな小さなヒマワリに、
『早く大きくなぁれ』
なんて、そんな言葉をいつものように言っていたあたしだけの場所。
隣の体育館では女の子たちの黄色い声が響きわたっていた。
その日あたしの通う中学が男子バスケ部の試合会場で他校がいっぱい集まっていた。
中でも有名なのは強豪校“篠ヶ原中”“オフェンスの鬼”と呼ばれる男の子。
女の子たちが騒いでいたのが聞こえた。
『ボール取って?』
『えっ?』
花壇の前でしゃがみこむあたしにそう言ったのはバスケ部の“宇田川くん”。
転がってきたボールを拾い上げ手渡すと『ありがと』と言って宇田川くんは去って行った。
彼はバスケ部のエースだった。
クラスは違ったけれどモテる部類に入る彼のことは知っていたし、話したのはそれが初めて。
けれど彼女たちがその一部始終を見ていたなんて知らなかった。


