「お前からキスしろよ?」
「むむむ……無理っ」
あたしからキスなんて出来ない。
そんなことしたら心臓が持たないしぶっ飛んでしまいそうだよ。
「ダメ。椎菜からキスしてほしいから言ってんだよ」
熱のこもった声と千秋の顔のアップはあたしの感情を加速させる。
フルフルと頭を振っても、千秋は「ダメだ」と言って容赦しない。
「オレのこと好きなんでしょ?」
コツンとおでこをくっつけてあたしを見つめる。
“違う”とは言えなかった。
すぐにおでこを離して、千秋はあたしがキスするのを目で急かす。
いつしか言われた言葉がプレイバックする。
『オレに勝てると思ってんの?』
きっとあたしは、千秋にはずっと勝てない。
「……好きなわけじゃないんだからね……」
呟いて、千秋の襟元をギュッと掴んだ。
「素直じゃねぇヤツ。いいよ、なんだって」
睫毛を伏せる千秋に唇を重ねた。


