千秋は強く唇を押し付ける。 それはまるであたしを黙らせるためだけのようなキスだった。 「羽鳥羽鳥ってうるせぇんだよ」 唇が離れたとたんに眉を寄せて、不機嫌な顔つきで千秋は言う。 ため息まじりのその声があたしの鼓膜を揺さぶる。 「千秋……?」 驚くあたしにもっと顔を近づけて口を開いた。 「お前の頭ん中、オレでいっぱいにしてやるよ」 瞳に映りこむ千秋の顔は少しだけ切なげで。 千秋が呼吸する度に微かに揺れる長い前髪が、あたしのおでこをかすめる。 千秋の瞳がしっかりとあたしを捉えた。