俺様王子と秘密の時間



色素の薄い茶色い髪の毛からポタポタと雫が落ちた。

それはあたしの目の前に立つ千秋の髪の毛からで。

雨の匂いに混じって千秋の甘い香りが鼻をかすめた。



「なあ?風呂、一緒に入ってやろうか?」

「ば……バカっ」

「それともこのまま昼間の続きしとく?」


トクン……トクン……

千秋が顔を覗きこむ。



「ち……千秋も部屋戻ってシャワー浴びなよ。風邪ひいちゃうよ!」


息がかかりそうなくらい近くて、あたしは耐えられなくなってバスルームに逃げ込んだ。



……はぁああああ。

こういうことは何度あっても慣れないもので、鼓動を加速させる。

バスルームの扉に寄りかかってそんなことを思っていたら、パタンと部屋のドアが閉まった音がした。


千秋、部屋に戻ったのかな?


あたしは熱いシャワーを浴びた。