「あのー、なんで?」
ルームウェアでは恥ずかしいのであたしはジャージを羽織った。
「ちょっと用があってね」
「……用?」
「とりあえず部屋に入れて?」
先生が来たらまずいからさ、と言う佐久間くんの申し出にあたしは頷いた。
でも、
「王子はともかく、なんでアンタが居んのよ?……用ってなんなの?」
突っかったのはジャージ姿のはーちゃんだった。
なんか、険悪な雰囲気。
「ん。コレ、忘れ物だよ?」
「あ……」
佐久間くんは一冊のノートをはーちゃんに差し出す。
「図書室に忘れてたよ?」
「……ありがと」
図書室――。
その単語にピンときた。
千秋の顔を盗み見すると、妖しい目付きであたしに視線を送っていた。
な………なに?


