一緒に居る女の子もマズイ……と言った表情を浮かべた。

まさかこんなところで“イケないこと”をしていましたなんて、とても言えないのだろう。


当然あたしも、盗み聞きしてましたなんて……言えないんだけど。


とにかく、一刻も早くこの腕から解放されたい。



「そ……そういうあなた達は何してたのよ!」


目の前に居る学校の王子に、女の子が頬を赤らめながら言うと、「先生に頼まれた資料を」と。


更に、


「あ、南センパイ。彼女が探してましたよ?」

と。


あたしは一瞬、思考停止した。


か……彼女?

今ココに居る女の人が彼女なんじゃないの?



「ちょっと圭一!どーいうことよ!」

「いや、あのその……」


すると南センパイはアタフタしながら出口へとスタスタ歩き始めた。



「圭一!待ちなさいよ!」


眉間にシワを寄せながら、女の子もあとを追って出ていってしまった。