ドキッ……。

不覚にも胸がときめいてしまったことにあたしは自分でも驚いた。

だって、こんなことされるの初めてなんだから。



「ちょ……ちょっと!」


だからあたしは抵抗しようと足をジタバタさせた。

が、その甲斐も虚しく次に降ってくる言葉であたしは静止させられる。


「シイナ、黙って?」


なっ……!

あたしはジタバタしていた身体の動きを止めて、大人しくコイツの腕に収まった。



「別にイジメてなんかないよ。ちょっと口止めしてただけさ」


ずっと黙っていた南センパイが、頭を掻きながら言った。



「口止めって、“何の”ですか?」


すかさず尋ねる成瀬川 千秋にちょっとヒヤッとした表情を浮かべる南センパイ。