千秋は何度も何度も優しく触れるように頭を撫でてくれた。
取り乱した心が落ち着いてゆく。
「んなひでぇこと……するつもりじゃなかったんだ」
まるで捨てられた子犬みたいな瞳をしてあたしを見つめる。
そんな顔は反則だよ……。
不謹慎だけど胸がキュンってしちゃう。
「こないだの放課後、お前が羽鳥と二人きりで話してんの見てメチャクチャムカついた」
「え……見てたの?千秋、羽鳥を知ってるの?」
千秋はまだ酔いが冷めていないのか顔を赤く染める。
「たまたまA組の前通っただけ。同じ学年なんだし嫌でも名前くらいわかるっつの。つかお前いつもアイツとじゃれあってるだろ?」
コツン……とおでこを叩かれた。
「やべ……オレ、余裕ねぇわ」
「へ……?余裕?」
千秋の奏でるような熱のこもった声はあたしの聴覚をくすぐらせる。
「……嫉妬してんだ。悪ぃか?」


