「………んんっ……」
解放してよぉおお!
あたしは足をバタバタさせて千秋に視線を送った。
「あ、悪い」
はーちゃんと佐久間くんが去ったのを確認して、千秋はようやくあたしの口を解放したのだ。
「ぷはぁああああ………」
まるで深い海から引き上げられたかのようにやっと呼吸することが出来た。
それを見て千秋はニヤリと笑う。
「な……なによ!」
「ん?いや、ただ邪魔者も居なくなったしさ……」
と、千秋は後ろからあたしの首に腕を回した。
「きゃあ……」
いつもなら、ぎゃああああああってあたしは悲鳴を上げていたと思う。
耳にフゥ……って息がかかった。