スタスタ――。
はーちゃんの足音が近くなる。
コレはもう中庭の時みたいに二人でバサッと倒れたって無駄だ。
それなのに千秋は、まるでスリルを楽しむように口端を上げて笑った。
その涼しい顔がムカつく。
意地悪な笑みが余計にドキドキさせる。
はーちゃんはあたしたちが身を潜める本棚の奥まであとわずかなところまで来ている。
見つかるっ……!
覚悟して目を瞑った。
「誰か居……」
「おーい!お前らー」
はーちゃんの声と太い声が重なったとともに、すぐそこまで来ていたはーちゃんの足音も止まった。
「もう下校時間は過ぎてるぞー。お前らも早く帰りなさい」
この声は……
西山先生――――!!
間一髪のところでゴリラ………じゃなくて西山先生に救われた。
そして千秋と二人きりになってしまったのだ。