ざわめく居酒屋の中で、あの時の話は止まらない。


「まったくもう、いつもはしっかり者の紘伽もあの時ばかりは動揺しすぎだったよね」


滋が、おかわりのサワーを飲みながら笑う。



「あれから、しばらくして警官が来てやっと退いたんだよな。あのオヤジ……」


追加の焼き鳥をくわえながら大悟が言った。



「しっかし、俺も随分と色んな奴等に迷惑かけてきたけど、あのオヤジみたいにはなりたくないな………」



大悟が真剣にそう言う。


「酒呑んで、クダまくのは高校時代の大悟くんはお得意だったもんね~」


滋の突っ込みに、ちげーよ。とそっぽを向く大悟だった。