【短】雨宿り

「バカにしてるように見える?これでも心配してるつもりなんだけど」

「全然!すごく見下されてる気分」

「そう?」

「もっと……」

「ん?」

「全部、もっとわかりやすく言葉にしたらいいのに。男の人はみんなそう。私のフッた彼も……あなたも」

「好きだよー愛してるよーっていつも言えって?」

「そうじゃなくて」

「じゃあなに?あの時こうやって想ってた、この時はこういう気持ちだったって全部いつも説明しろって?

今カップ落としそうだったから心配で声かけただけで、キツい言い方に聞こえたかもしれないけどバカにしてるんじゃないよって?」

「違う!そうじゃなくて……。

例えばその彼女への告白だって、『付き合ってみる?』なんて、そんな言い方からかってるみたいじゃない。

相手の反応見て楽しんでるみたいな。

好きならちゃんと好きって言えばいいのに」

「伝わんない?」

「あなたの彼女はどうか知らないけど、私には全然伝わんない。『その前に、俺の女になれ』だって、売り言葉に買い言葉みたいなものにしか聞こえない」

「そう?」

「高校の時の話も。ちゃんと話さないから、未だに彼女の中では引っ掛かってるかもしれないじゃない」

「なんか、わざわざ話すのって恩着せがましいじゃん」

「変なとこでカッコつけないでよ」

「カッコ?つけてないけど?」

そう言いながらも、またしようとする髭男のキメ顔は今度は思い切りスルー。

「突っ込めよ」

「そんな気分じゃないもん」

「勝手だな」