私って!

 夕方…

 仲良しの神谷愛子先輩、桐枝弥生先輩を始め…

 友人の岸田芋子、森山香奈恵、江崎瑠璃奈、田中美空、藤岡拓也たちがウチへやって来た。

 玄関でみんなを出迎える。

 いつもの制服姿と違って、みーんなラフな格好をしている。

 先輩を始め、みーんなオシャレだよネェ。

「私、キッチンで用意の続きがあるから、上がっててェ!」

 そう言い残して、私はキッチンへ戻る。

「ハーイ! おジャマしまーす!」

 上がり込む仲間たち。

 私がキッチンで食事の用意をしていると、香奈恵と美空の2人が覗き込んで来た。

「綾香ァ、手伝う事あるゥ?」と美空。

「ええーっとネェ…
 今からグラス洗うから、拭いてくれるゥ?」

「了解。布巾はどれを使えばイイの?」

「そこの、戸棚の引き出しに入ってるよ。
 上から2段目のね」

「うーんと…
 ココだね?」

 引き出しを開け、美空は布巾を取り出した。

 昨日の朝、私が学校へ行く前に洗って干したばかりの布巾だよそれ。

「綾香って、すっごくねー?」

 テーブルに並べられた料理の盛り付けを見て、香奈恵が目をキラキラさせる。

 サラダ、フライ、蒸しケーキ…他、色々な料理が盛り付けられている皿、皿、皿…。

 勿論、みんな私が調理して盛り付けた。

 ほぼ毎日、お母さんと一緒に夕食の準備をしているから、調理や盛り付けぐらいは自分で出来るんだよ。

 別にプロの腕前じゃないし、カンタンな料理しか出来ないけどね。

「そう大した事じゃないよ」と私は言うけど…

 でも香里奈ったら、大げさに私の料理をホメちゃう。

「綾香、将来…シェフにでもなって…お店開いたらイイよね」

「うーん、考えとく」

 私の将来の夢は別にあるんだけど。

 私が洗ったグラスを拭きながら、美空は質問する。

「香奈恵は何か、作れるの?」

「目玉焼きぐらい」と香奈恵。

 目玉焼き…

 何か、定番っぽい。

 みんながいるリビングに行ってみる。