「―――望夢」 聞き覚えのある声に、顔を上げる。 あたしに夢を見せてくれた、 偽りでも、幸せな時間をくれた、 その声の主。 「・・・っ何か、用ですか?」 冷たく言い放ったあたしに、彼は静かに歩み寄る。 「話があるんだ。聞いてくれる?」 「聞きません」 きっぱりとそう言うと、彼はわざとらしく 「困ったな」と肩をすくめた。