あふれる涙を乾かすように

あたしはただ、ひたすら走った。



サッカーやっててよかったなって

今、思う。



だてに90分も走り回ってるわけじゃない。





“――ずっと、見てたんだ”


“だって君、女の子でしょ?”


“君が、いいんだよ”


“そのままで十分だと思うけど”


“――彼女と一緒に帰ろうと思って”





唯一あたしを

“女の子”

にさせてくれた先輩は、


あの笑顔は、


あの言葉は、



全部、嘘だったんだ。