空を仰いだ先輩が、あたしに目を向ける。 「例えば――」 そう言って空いているほうの手を伸ばした先輩は、 あたしの髪を手に取った。 「今こうやって、髪を下ろしてるとことか」 立ち止まった彼との距離があまりにも近くて、 またしても顔が熱くなるのを感じる。 「そうやって、すぐに赤くなるとことかね」 クスクスと笑って歩き出した彼に手を引かれて やっぱり好きだな、なんて ガラにもないことを思ってしまう。