「王子がスカートはいてる!」


「今日、朝から髪も下ろしてたよ!」


「なんか何気に超美人じゃない?」


「やっぱ“彼女”なんだよねぇー」



部活を終えて校門に向かうあたしへの視線。

それがいつにもまして痛いと感じるのは、
きっとあたしの格好がいつもと違うから。

沙希に言われたとおりジャージを脱いで、
ついでに髪を下ろしただけなんだけど。



褒めてるんだか貶してるんだか知らないが、
キャアキャアと騒ぐ周りの声は丸聞こえだ。



「評判だね。望夢ちゃん」



隣を歩く千夏ちゃんがクスクスと笑う。



「どーかな」



そんな彼女に向けて苦笑いを返した。