千夏ちゃんと、彼女を誘ってきた沙希と一緒に昇降口へ向かう。


キャアキャアとしゃぐ2人の少し後ろを歩いて


こんな風に女の子らしく話せたら・・・


なんて、無意識にそんなことを考えていると
急に立ち止まった沙希があたしの腕を掴んだ。



「の、望夢!!あれ!!!」



沙希の指差すほうを見ると、2年の昇降口の扉にもたれるようにして1人の男子生徒が立っていた。

それを確認して、千夏ちゃんも「あっ」と小さく声を上げる。



「やっばいカッコ良くない!?近くで見たの初めてなんだけど!!」


「本当に王子様みたいだね!」



そう言って飛び跳ねる彼女たちを前にして、あたしは目を見開いたまま動くことが出来なかった。