「ま、望夢の恋もいいけどさっ。
そんなことより、あんた今日オフでしょ?
千夏も誘ってカラオケ行くよ!」



沙希は楽しそうに鼻歌を歌いながら
あたしの机から飛び降りた。



・・・・そんなことって、おいっ!



心の中で小さく突っ込むあたしになんて気付かず
カバンを持ってそそくさと教室を出て行く沙希。

隣のクラスにいる
千夏ちゃんを迎えに行くらしい。



そんな彼女の背中を見つめて
今日何度目かも分からないため息をついたあたしは

カバンを持ってその後を追った。




―――見ているだけでいい。

ずっとそう思ってきたあたしに、思いがけない転機が訪れるなんて知るはずもなかった。