「――今日はオフ、か」 教室の窓から見えるテニスコートに目をやったあたしは、小さく呟いた。 「なんか言った?」 「いや、何も」 ・・・・・・・この学校には あたしの他に、もう1人の王子様がいる。 “テニスの王子様” そんな漫画チックな言葉がぴったりハマる彼。 女子生徒からの視線も熱い、 学校中のアイドル。 あたしなんかとは違う、ちゃんとした王子様。 もちろん、先輩である彼とあたしに関わりなんてない。 こっちの存在なんて、知ってもらえてるのかすら分からない。 見ているだけの、高嶺の花。