「今回は偶々あいつ等だったからまだ良かったけど、次は本当に俺に敵意持ってる奴かもしれねえ。

これからは俺が絶対守るから、あんま一人で動いて心配掛けさせんなよ?」


優しく私の頭を撫でる魔王様は、そう言ってまた微笑んだ。


【俺が守る】とかきざったらしい事真顔で言っても様になるその美貌が凄いと思います。


そしてやっぱり私はこの御方のその笑顔に弱いのか(いや、こんな綺麗な顔で微笑まれたら誰でもこうなるのか?)また顔を染めつつ頷いた。


だってこの御方と一緒にいるのは恐ろしいが、その魔王様に敵対している方々に襲われるなんて冗談じゃない。私何もしてないじゃないですかッ!!


「…………。」


「…………。」


…しばらくそんな感じでうだうだと考えていたが、少しするとまた会話が途切れ訪れる嫌な沈黙。


しかも今のこの体制で、だ。未だ私は魔王様の腕の中。気まずい、気まず過ぎるぞ、何なんだこの微妙な空気ッ!?



「…あ、あの…そそそそろそろ離れていただいても…」


よ、よろしいでしょうか?


最早最後の方は消えていたが、恐る恐るどもりながらも頑張った!言えた!!(再びガッツポーズ)


「わ、悪い!」


そう言って慌てたように私を離し、バッと音がしそうな勢いで顔を背ける魔王様。


その耳が真っ赤に染まっていたように見えたのは…きっと私の目の錯覚に違いない。





…嗚呼、安全な日常は遥か彼方、訪れたのは危険な日常。


魔王様の逆鱗に触れて知った事…それは彼の分かりにく過ぎる優しさで。


この無愛想で不器用な魔王様との生活は、これからいつまで続くのでしょうか。



【2.魔王様の逆鱗!! END.】