行き交う人の中に香月の姿を必死に探す。

それにしても凄い人。

松阪では考えられないような、大都会である。


「あっ!!父ちゃん!!」


博愛が叫んだ。

勢いよく顔を上げて、正面を見つめると、優しく微笑む香月の姿があった。


「博愛、待ったか??」

「父ちゃん遅いよ!!」

「華緒ごめんな、遅くなって…電車乗り遅れてまった。」


赤いランニングにタイトなジ-ンズと、はた目から見ればあまりにもチャラい格好が、華緒には素敵すぎて涙が出る。

何よりも香月が目の前にいることが幸せすぎる。