「渚お疲れ!また明日な」

「おう!」


シャツの襟元を直しながら外へ出ると、むせ返るような暑さと共に雑踏の音が渚の足を誘う。

真夏の外は輝いていて、あまりの眩しさにサングラスをかけた。

御堂筋をゆっくりと、自分のアパートの方に歩いていく。

酒臭いのが自分でも分かる。

ナンパ橋の上では、他店のホスト達が道行く女に声をかけていた。

指名を取ろうと思うなら、本当はこれくらいしなければいけないのだろうが、渚にはそんな考えが毛頭ない。

自分もホストだと言う事を隠すように歩く足を早める。


「なぎ!」


ふと自分を呼ぶ声に振り返る。

そこにはキャバ嬢の心が立っていた。