心斎橋で、ナンパの振りをして引っ掛けやすそうな女を探す。

営業時間ギリギリまでキャッチなんて、頭が痛くなる。

顔は良いのに、喋りが下手。

それがホスト、渚だ。


「姉ちゃん何やってん?暇してる?」


笑顔を浮かべて、声をかける。

派手で、軽そうな女。


「自分、ホスト?」

「そやで。」

「チャラいの嫌いやねん」


冷たい視線を投げかけて、女は雑踏に消えていった。


「誰がチャラいねん!お前やろ!」

「そう怒んなや…いつもの事やんけ」


同期の奏が苦笑する。


「俺って、やっぱホスト向いてへんのかなあ…」


愚痴をこぼすのは毎日の事。

煙草に火をつけて空を見上げると、明るくなってきていた。


「今日何かありそ」


いい事か悪い事かは知らないし、まず何か起こるかも分からないけど、何となく呟いた言葉。

渚たちホストの長い夜が終わろうとしていた。